何から綴ればよいのか少し戸惑ってしまうのですが、

3月いっぱいを持ちまして チャツネの営業をひとまずお休みしたいと考えています。

いろいろと決めなければならない事もあって

ご報告がぎりぎりになってしまったこと、本当にごめんなさい。




実は一月末にお店のこと、生活のこと、家族や生きていく事に

いろいろと想いをめぐらせる出来事がありました。

もしかしたらその出来事が一つのきっかけになったかもしれないです。

ずっと胸の奥にいたものがぐわんと動いて


「こうだったらいいなぁ…」「ああだったらいいなぁ…」と

雲みたいにあいまいでほわほわしていた気持ちが

くっきりと輪郭をもって目の前にやって来るようになりました。



ああ、この夢のような未来を現実にするにはどうしたらいいか

具体的に向き合って考えるようになりました。



そしてもう一つ



この小さな工房でたくさんのパンを焼く事に限界があるということ。



それが少しずつ生活や身体に無理をさせてしまっていたことを

見直さなければいけない時期でもありました。





チャツネを始めたころは本当にパン屋の「パ」の字も名乗れないくらいの

小さなオーブン2つから始まりました。

ありがたいことにたくさんのお客さまにご利用頂き少しずつ少しずつ

新しい機材や必要なものを集めて来たように感じています。

いつもお願いしている設備屋さんのおじさんに

ちょっとずつちょっとずつでいいんだよと

励まされながら、ひとつ大きなオーブンがやってくる度、冷蔵庫がやってくる度、

浄水器が入る度にそれはもう嬉しくて、だんだんとパン作りも変わっていきました。



恥ずかしながら未だパン屋さんとは胸をはれない最小限の設備たち。
それでも

試行錯誤しながら出来上がるパンたちに日々楽しく勉強させてもらっていました。

 ただ設備が整っていない分を自分達の生活や身体を使って

カバーしているところがありました。「ああ、これは今はこなせるけれどこの先ずっと

ここでパンを焼いてお届けするのは難しくなってくるなぁ…」と。




設備をもっとしっかり整えるかもしくはもっとシンプルにパンを焼いていくか、

もしくはパン屋をやめて違う生活をしてみるか、

選択肢がわかれました。でもわたしも旦那さんも想いがひとつになりました。



ずっと夢のようにあった薪窯でのパン焼きです。

もっとシンプルにパンを焼くこと。



薪窯に火が焚かれる絵が頭に浮かぶようになりました。









一度だけお友達のあっちゃーふぁーむさんが作った窯で焼かせてもらった

あの日のパンたち。

とっても生き生きしていて別人だった。



火を眺めながらパンたちが焼けていく香りと薪の香りと

全身でパンを焼いているようでたのしかった。



夏によく旅で出かけるネパールの山の村々ではいつも竃が使われて

お料理もお茶をいれるのも全て薪の生活。火を操るお母さんたちは本当にかっこよくて



料理するお母さんたちをスパイスの香りごしに眺めるのが好きでした。



竃のまわりに人が集まることもよくあって

みんなで火を囲んで食べるご飯は本当においしかった。




なぜだかよくわからないけれど火を眺めていると

胸がぽうっとしてしまう。

顔がだんだん照らされて幕のように熱が顔を覆って

すうーと吸い込まれてしまいそうな。



たましいの奥がどこまでも静かに、

でもふるふるとずっと揺さぶられている とても不思議な感覚。



「火を焚いてパンを焼く」

を

かなえてみようと思いました。




今回お休みをいただいて薪窯のおはなしを伺いに広島へ行かせてもらいました。



ドリアンさんという薪窯パンでは有名なパン屋さんです。



お2人に会うまでとても緊張していたのですが

ほんとうに優しく迎えてくれて

田村さんのパンとの向き合い方にとても感銘を受けました。



自分のつくりだすパンというより、食べ物としてのパン。

昔の人が作ったこのパンという食べ物。いかにうまく発酵させて身体が食べやすい

パンを作るか。

おにぎりを結ぶようにたんたんと日々のパンを焼いてらっしゃた。



そして朝焚き火をするように窯に火が静かにはいっていく様子を

幾日か側で見させてもらいました。

薪窯への想いはさらにぐっと固まり、



真摯にそして飾らない田村さんのパンづくりや生活に感動しました。







薪窯とあたらしく店舗をかまえるにあたって

しばらく

八ヶ岳の山小屋へ2人で働かせてもらうことになりました。

 

工房にひとつひとつ道具がやってきたかのように、

薪窯への気持ちをゆっくり 

温めながら、一度自分たちをリセットする良き機会だと思っています。

ぜひ山小屋にも遊びにきてください。

いろいろと気持ちを後押ししてくれた友達や今回のことを応援してくれる

周りの方々にありがとうの気持ちでいっぱいです 

そしてなにより家族である犬たちの面倒をしばらくの間みてくれる

kaffaさんにほんとうに感謝です。

ありがとうございます。



いま世の中も自然たちも大きく変化しているとき。

海をこえた遠くの情報もまるで隣で聴いているかのようにたくさん入ってきます。 

瞬きすればもう違うことが起こってる。それをすぐ知ることができちゃう世の中。

あれをやらなきゃ、これをやらなきゃってどんどん後ろから風が吹いてくるような

とても早いサイクルの中に立っていて

本当はが大切なのかを見落としそうになってしまうけれど

一息ついてぐっと踏みとどまってみる。

守るもの 守られるもの 守るべきもの…

大切なことってなんだろうってたくさん考え

でもシンプルに考えれば考えるほど、一番は近くに居てくれる人が

元気で笑っていられる暮らしがあったらいいなぁ。ということ

そしてその小さなぬくぬくしたものが

だんだん大きな輪になっていけたらと静かに思います。
 


いろいろと長くなりました。想いがあちこちに散らばって 

文章もうまく書けているかどうか… 読んで頂きありがとうございます。



 
6年間本当にありがとうございました。



自分たちがパン屋として働いているのが不思議なくらい



お客さん、農家さん、パンをあつかってくれる方々に支えられて
、


あれよあれよといつの間にかパン屋さんとして

日々パンを焼かせてもらっていたように感じます。



大好きな吾妻山を背にこの宮本町でパンを焼けたことを誇りに思います。



新しくなったパンたちをお届けできる日を夢みて。 



工房チャツネ 大嶋
2019.3.6








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3/23土 st market 場所:st company 
3/24日 collage portrait exhibition 場所:REBEL BOOKS 
3/31 march de NILS 場所cafe & restaurant NILS
4/7 春のパンまつり パンとお菓子とコーヒーと 場所:おかって市場 

  3/23土・3/28木は店舗はお休みとなります。

申し訳ないのですが、最終週はご予約の受付けはしていません。

よろしくお願いします。
   
詳細カレンダーやinstagramお知らせさせてもらいます